マンガ大賞受賞作品一覧　2008年〜現在まで

「完璧です！これだけハッピーエンドとはいえない結末が多いのに心惹かれる作品はありません。現実に近いからでしょうね、きっと。自然を前にしたときヒーローは要らない。『畏れ』と『現実』を見据えればよい、そう思わせる１冊ですね。」

選考員A

「友達のすすめで読みましたが、どの巻を読んでも素晴らしいです。山における人間の生死が、淡々と当たり前のように描かれています。おおげさに嘆くのでもなく、悲劇的にするのでもなく、ただ人は大自然の前で死んでいくのだというその作者の死に対する姿勢が実に好もしい。」

選考員B

「か、感動しました！少女マンガでスポ根もの、しかもかるた競技の団体戦とは！ひとりの天才の物語というわけでなく、皆で努力して一つの目標に向かっていく、その頑張りに打たれました。キャラも絵も物語も、すべてが素晴らしい。」

選考員A

「競技かるたはある意味スポーツ。真剣に取り組む事の楽しさ、かるたを通して培われていく思い。胸を熱くさせます。」

選考員B

「古代ローマと現代日本との共通点を見出しタイムスリップコメディとするモチーフながらも、「風呂」というテーマに拍子抜け。しかしこの意外性が、真似のできない作品に。実直でローマ人としての誇りに満ちた主人公が、現代日本の気さくなおじさんおばさんに囲まれながらも、驚きや発見に打ちのめされていく姿がまた滑稽。シャワー派だが風呂につかりたくなる。温泉行きたい。」

選考員A

「これは読んで正直やられた！と思った作品。人に勧められ、表紙を見て変態漫画か？と思った自分。読んでごめんなさい！と思わず誤ってしまいました。全く新しいジャンル誕生と嬉しく思い、こんなマンガ読んだことなかったので新鮮な感じで読むことが出来、とても面白かったです。古代ローマと現代風呂。古代ローマ人の感覚が分かって楽しめました。」

選考員B

「17 歳でプロ棋士となった少年の物語。といっても将棋の話が分からなくても大丈夫。どちらかというと「、才 能」と「家族」の相反する悲しみと再生の物語、といったほうが良いかもしれません。少年がこれからどの ように周囲の大人と係わり合いを持ち、助け、助けられて成長していくのか。そして周りの人々も何を取り 戻していくのか。本当に将来(?)を早くみたいと思わせる作品です。」

選考員A

「ドラマ云々ではなく、心理描写に惹かれてしまう。やはりうまい!作者自身が戦っているからこそ描けるも の。」

選考員B

「農業、食、夢、現実。深く大切なテーマが描かれているが、ストーリーは軽快で個性的な主人公達が更にストーリーを盛り上げている。安心して人に勧められる作品。」

選考員A

「生きることは食べること、食べることは殺すこと。簡単で残酷な真理だからこそ、親子で読んでほしい漫画。」

選考員B

「『人とのつながり』から生まれる様々な縁や想いがひとつひとつ心に染み入る作品です。重いテーマながら温かく 描かれていて鎌倉の町並みや空気感が伝わってくる何度も読み返したい名作です」

選考員A

「派手さはないが静かに深く暖かく丁寧に物語が進行していきます。登場人物の息遣いが伝わるような、リアリティ のある作品だと感じました。どっぷり感情移入させられます。よくできた小説を読んでいるような気持ちです。」

選考員B

「遊牧民のお話し。現代社会の中で無くなっていたものがこの物語を通して蘇ります。誇りと尊敬と厳しさと愛。それを書き込まれた美しい画が伝えてくれます。」

選考員A

「中央アジアを舞台にした独特の世界観、多彩な登場人物、変化のある物語。どれをとっても魅力的。巻数を重ねるごとに味が出ているのも良い。発展した日本が失ったものも描かれているように思う。」

選考員B

「身勝手でぐうたら、勘違いしていて傲慢で、でも必死。そんな主人公の若さとバカさと、「先生」の破天荒ぶりにゲラゲラ笑い、笑っているうちに泣かされる。急転直下の展開は苦しくてたまらないし、続きを読みたいけど結末は想像すると切なくて本を閉じたくなる。熱くて苦くて甘い、キリキリする思いが勝手に蘇ってくる青春の書です。」

選考員A

「東村アキコ二冊目でごめんなさい（笑）
ご存知、東村アキコの自伝本。話がどんどん悲しい方に向かってます。
そんな伏線がバシバシ張り巡らされていて胸が締め付けられるような4巻でした。
どう、終止符をつけていくのか。切ねえです。」

選考員B

「食×アイヌ×日本兵×お宝×新選組×脱走×……と内容盛りだくさんの作品。いろいろな要素が上手いこと組み合わさって・絡み合って、なんとも言えない、お腹が空くお話になっています。決してこの作品を空腹状態で読んではいけません。」

選考員A

「常に死と隣り合わせで、尋常でない緊迫感溢れるバトル。大自然の恵みである食。詳細に取材されたアイヌ文化。そして絶妙なタイミングのギャグ。それらすべてが奇跡的に絶妙に混ぜ合わさっていて、読まないと損と言い切れる。白石のフキダシについてる小さい白石！」

選考員B

「タイトルから、『小説の書き方』的な内容だと思って読んだら違った。主人公は実際目の前にいたらとても近づきたくない、少し風変りな人物だが、キャラクターとしては魅力的で、巻を追うごとにおもしろくなる。実際一気に読んでしまった。過去に大学ノートなんかにひっそり小説を書いたことがある人は古傷をえぐられ、そうでない人も物語として楽しめる、読む人を選ばない作品。」

選考員A

「天才とは如何なるものか、言語化が難しいその問いの答えを、主人公の言動で表そうとしている力作。」

選考員B

「サスペンスあり、人間（動物？）関係の複雑さあり、学園ものの面白さありと、てんこもりの一作。わくわくしながら次のページを開き続けてました。面白い！」

選考員A

「「名探偵ホームズ」から30余年、動物擬人化キャラのネクストが現れた。肉食・草食動物の設定をそのままに活かした学園もの。本能が出てしまうレゴシのナイーブな葛藤に目が離せない。殺害事件から禁断の肉体関係、はたまた次々現れる個性的な動物たち。目が離せないとはこのことだ。」

選考員B

5 巻完結している作品ですが、完結しているからこそおすすめしたい作品。伏線が張られているなんて気付かずに 読んでいた 1 巻から 3 巻。4 巻で急にあの場面は伏線だったのか！と思わせる急展開。怒涛の伏線回収が始まり 完結 5 巻に繋がります。この面白さは一気に読まないと分からない。5 巻と短めですが、設定からキャラに至るま でよく考えられていると感じますし、読み手に対しての期待を裏切らない面白さです。これこそ漫画の面白さ。

選考員A

伏線回収の妙も気持ちよかったんですが、それもこれも、“仲間がそこにいるのなら、恐くたって手を伸ばすんだ よ！”っていう篠原健太流少年マンガの魅力あってこそ！　全 5 巻、マンガ一気読みの面白さを久しぶりに味わえ ました。

選考員B

決して順風満帆ではないからこそ諦めずにもがく姿に共感せざるを得ない。読めば読むほど熱くなる圧倒的なエネ ルギーが込められていて、衝き動かされそうになります。

選考員A

美大受験し合格することがどれだけ大変なことか、話は聞いたことがあっても、これほどとは思いませんでした。 最高に熱い漫画です。

選考員B

寿命の違いによって生まれる、時間に対する意識の大きな差。これが物語の鍵にすることで、ともすればありがち になる王道ファンタジー世界での冒険劇から受け取る感情が、こんなにも優しく、尊く、そしてわくわくするもの になるのかと驚かされる。穏やかなエピソードと、時折訪れる激しい戦いのそのどちらもが良質。タイトル回収の 展開で、益々虜になった。読んでいて、現実でも物語の中でもあっという間に時が流れていく心地よさは、きっと 多くの人が大好きになるはず。

選考員A

勇者パーティが魔王を倒した後日譚から物語がスタートしているという斬新な設定だけでなく、主人公を魔法使い のエルフに焦点をあてている漫画。 長寿であり、少し人間と感性の違う超合理的なエルフが、寿命を終えた勇者 や仲間たちのことを回想しながら進む物語は、淡々としているのですが、どこか人間にとって大事なことを感じさ せてくれます。

選考員B

アメリカを舞台に、チンパンジーと人間の間に産まれたチャーリーを巡り、進化とは、尊厳とは、命とは、ヒトと は、思想とは、たくさんの難しいテーマに対峙している作品なのに一分の隙もブレもない、でもしっかりがっちり エンタメなんです。ともすれば暑苦しく押し付けがましくなりがちなメッセージが作品の裏にあるはずなのに、作 者のおそろしく豊富な文化への理解や学識が土台にあり、しっかり計算されているかと思いますが、その上でクー ルに物語が進んでいくので読みにくさや重たさを全く感じません。ダーウィンが唱えた進化論を揺るがすまさしく 「事変」。タイトルも刺さりますね。まだまだ謎だらけな段階なのにおもしろい！めちゃくちゃ先が気になります。

選考員A

奥深い作品。若干デリケートかつ社会派な内容ゆえに意見が分かれそうだけれど、読んでいく中で自分の考えが整 理される瞬間があったり、違った見解が見えたりして、とても読み応えがある。

選考員B

読むことも描くことも、マンガへの愛に溢れていて、その愛はストーリーのみならずコマ割りやら台詞やら、マン ガならでは！という表現で描かれたページの隅々から伝わってくる。とにかく「楽しい！」先行で物語が進んでい くのが本当に気持ちいいです。そして、その傍らで創作の厳しさも教えてくれる『先生』の存在が絶妙。素敵な先 生に出会える作品は、素敵な作品です。ぜひ、これ読んで、ね！

選考員A

漫画を創作する喜びにあふれた部活動や友情がキラキラと眩しく感動する。漫画内漫画も良い。伊豆大島に遊びに 行きたくなりました！

選考員B

ADHD 少年の「生きにくさ」、学ぶことからドロップアウトしたヤンキー少年の「生きにくさ」を重ね合わせて描 くところから始まる物語。多かれ少なかれ、人はこういうふうな生きにくさを抱えて生きていくもので、それだか らこそ、そこにひたむきに向かい合う少年たちの姿に心が沁みる。

選考員A

とにかく一話の完成度がすごい。世界中の人に読んでもらいたい深く丁寧に作られた一話。まだ一巻なので、これ から粛々と彼らの行く末を見届けたい。

選考員B